脂肪を知ろう!④ 気づきにくい異所性脂肪の蓄積

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蓄積するはずのない場所にたまる脂肪

「第3の脂肪」という新たな厄介者の存在にいま、関心が高まっています。体の中には、大きく分けて皮下脂肪と異所性(いしょせい)脂肪があります。異所性脂肪の中に内臓脂肪と今回話題の「第三の脂肪」があります。第3の脂肪は、心臓、肝臓、筋肉など、今のところ14か所の臓器に溜まると報告されています。
脂肪は臓器の周りにたまったり、その臓器の細胞の中にたまったりして、健康障害を引き起こすことがわかってきました。皮下脂肪や内臓脂肪など、これまで脂肪が蓄積すると考えられてきた場所以外にも脂肪がたまることがわかってきたのです。
皮下脂肪、内臓脂肪に続く存在だから「第3の脂肪」と呼ばれるのですが、筋肉や内臓など通常は蓄積するはずのない場所にたまるので、正式には「異所性(いしょせい)脂肪」と言います。それが心臓であれば心筋梗塞、膵臓や筋肉なら糖尿病など、日本人の生活習慣病を招く重要な要因と考えられています。

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やせている人に蓄積しやすいという厄介者

第3の脂肪が厄介なのは、やせている人ほど蓄積しやすいこと。それは、太っている人よりやせている人のほうが、備わっている脂肪細胞の数が少ないことに理由があります。
食べすぎや運動不足などで、消費されずに余ったエネルギーは、脂肪として皮下脂肪にたくわえられます。皮下脂肪の脂肪細胞は伸縮自在の貯蔵タンクのようなもので、新たな脂肪をたくわえると大きく膨らみます。1つひとつの細胞が外見的にも膨らむ、これが肥満です。
やせている人に比べて太った人には皮下脂肪細胞の数が多いので、より多くの脂肪をため込むことができます。一方、やせている人はそれほど多くの脂肪はため込めません。結果、貯蔵タンクに収容できなかった脂肪が向かう先が、内臓脂肪および第3の脂肪なのです。

心臓の周りにたまると超悪玉ホルモンを分泌

内臓脂肪がたまると、さまざまな悪さをする悪玉のホルモンが分泌され、メタボリックシンドロームをもたらし、全身に悪影響を与えていることはご存じでしょう。しかし、内臓脂肪ではない第3の脂肪が心臓周りに蓄積すると、局所的に心臓の血管や心筋に悪い影響を与えることがわかってきたのです。
そもそも心臓の周りの脂肪は、アディポネクチンという良いホルモンを出して、血管を拡張させることが知られていました。ところがある程度の量を超えると、この良いホルモンが減り、血管を収縮させる方に傾いていってしまうのです。また超悪玉というわれるホルモンが分泌され、マクロファージという炎症細胞を血管壁に呼び込み、血管の炎症を起こすことがわかってきました。
心臓の周りの脂肪が多いと、冠動脈の石灰化を起こしやすくなります。また心房細動という不整脈も起こりやすくなり、結果として心臓の動きを悪くしてしまう可能性も示唆されています。  第3の脂肪は、心臓の周りに溜まるだけではなく、心筋細胞の中までため込まれることもわかってきました。心筋細胞の中まで脂肪が入り込むと、心臓の収縮力が低下するとも言われています。
同じような現象が、肝臓にもおこります。みなさんがよくご存じの脂肪肝です。アルコールを飲まなくても肝機能異常を指摘される方の中には、メタボリックシンドロームに伴う脂肪肝の方、あるいは皮下脂肪が少ないため、見かけはやせているのにしっかり内臓に溜め込まれてしまって脂肪肝になっている人がいると考えられます。
筋肉に脂肪がついた場合は、インスリンの効き目が悪くなり(インスリン抵抗性と言います)、糖尿病になりやすくなりますし、腎臓に脂肪がついた場合は、高血圧や慢性腎臓病を起こしやすくなる、と言われています。

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次回(最終回)では異所性脂肪の対策をお伝えします!

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